社会的治癒が認められうつ病で障害厚生年金2級が決定、年間で約140万円受給出来た事例
相談者:女性(30代)
傷病名:うつ病
決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
年金額:約140万円
遡及額:約150万円
〇相談時の状況
ホームページをご覧いただき、お問合せをいただきました。
ご自分で色々調べてみた結果、初診医療機関では既に記録が残っておらず初診を証明することが出来ないことが分かり、障害年金を請求するのは諦めるしかないのでしょうかとの内容でした。
確かに初診証明を取得することが困難な場合は障害年金の請求を断念せざるを得ないケースが多々ありますが、状況をよく確認するためお会いすることになりました。
〇相談から請求までのサポート
お話をよくお伺いすると、初診医療機関では「診療記録は残っていないが、レセプトコンピューターに初診日と終診日だけが残っている」という内容でした。
レセプトコンピューターの記録に基づく初診日証明は効力が弱く、原則「初診日」として認められません。そこで行き詰ってしまい手続きを進められずにいるということでした。
発病から現在までの受診状況や就労状況を詳しくヒアリングし、どこかに何か糸口が無いか模索しました。
すると、治療により体調が回復しフルタイムでの仕事が出来るようになり、結婚し転居されるまでの約10年間、病院を受診せずに元気に過ごすことが出来ていたことが分かりました。その後、就職した会社でのストレスが原因でうつ病を再発したということでした。
そこで、社会的治癒での請求を提案しました。
社会的治癒とは、医学的には治癒したとは認められなくても年金請求上での不利益回避のため、前に発症した傷病と後に発症した傷病を別の傷病として扱うというものです。それぞれ別々の傷病として扱うことで、「初診日が変わる」ということになるのです。
病歴就労状況等申立書でも、受診していなかった約10年間の様子についてもしっかり記載し「社会的治癒の状態であったこと」を申立てました。
〇結果
社会的治癒の状態であったことが認められ、障害厚生年金2級が決定しました。さらに遡及請求も認められ、本人もとても安心した様子でした。
社会的治癒での請求は、制度上明記されているものではなく、あくまで一つの取扱いとして運用されているものですので、認められるかどうかがハードルの高いものであることは言うまでもありません。
初診日証明が取れないケースでも、諦めずに糸口を探すことが大切です。