初診日が証明できない方へ|カルテがない場合の対処法を社労士が解説
目次
はじめに:初診日の証明が出来ず、申請を諦めていませんか?
障害年金の申請準備を進める多くの方が、最初に直面する壁が「初診日の証明」です。
「初初診の病院は20年以上前で、もうカルテが残っていない…」
「病院自体がなくなってしまい、証明のしようがない…」
「20歳前のことなので、記憶も記録も曖昧だ…」
このような理由で初診日の証明が難しいと感じ、申請そのものを諦めてしまうケースは少なくありません。
しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。
たとえ病院にカルテが残っていなくても、初診日を証明する方法は存在します。
この記事では、障害年金専門の社会保険労務士が、初診日の証明がなぜ重要なのかという基本から、カルテがない場合の具体的な対処法、そして実際に証明に認められた事例まで、分かりやすく解説します。
1. なぜ「初診日」の証明がこれほど重要なのか?
そもそも、なぜ年金事務所はこれほどまでに「初診日」の証明を求めるのでしょうか。
初診日とは、「障害の原因となった病気やケガで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」を指します。
初診日の特定が重要なのは、主に3つの理由があります。
- 保険料の納付要件を満たしているかを確認するため
障害年金を受け取るには、初診日の前日時点で、一定期間きちんと年金保険料を納めている必要があります。その基準日となるのが「初診日」なのです。 - 受給できる年金の種類(国民年金か厚生年金か)を決めるため
初診日に加入していた年金制度によって、支給される障害年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まります。 - 障害の程度を判断する「障害認定日」を決めるため
障害認定日(原則:初診日から1年6ヶ月後の日)を確定させ、その時点での障害の程度を審査するために、初診日の特定が必要となります。
このように、初診日は障害年金制度の根幹に関わる、非常に重要な情報なのです。
2. 「受診状況等証明書」が取得できない典型的なケース
本来、初診日の証明は、初診の医療機関に「受診状況等証明書」という書類を記載してもらうのが原則です。
しかし、以下のようなケースでは、この書類の取得が困難になります。
- ケース1:医療機関がすでに廃院している
- ケース2:カルテの法定保存期間(5年)を過ぎて破棄されている
- ケース3:転院を繰り返しており、どの病院が初診か記憶が曖昧
ご自身の状況がこれらに当てはまるからといって、すぐに諦める必要はありません。
初診日を証明するための代替方法を探っていきましょう。
3. 諦めないで!初診日を証明するための代替手段
「受診状況等証明書」が取得できない場合、それに代わる客観的な資料をできる限り集め、「初診日を合理的に推認できる証拠」として提出します。
どのような資料が有効か、客観性の高さに応じてご紹介します。
A. 証明につながる可能性が高い資料
以下の公的な記録や診断書は、信憑性が高いと判断されやすい資料です。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の申請時に提出した診断書
- 会社の健康診断の記録(「要精密検査」「要治療」などの所見があるもの)
- 生命保険や医療保険の給付金申請時に提出した診断書
- 労災保険の給付関係書類
- 交通事故が原因の場合、交通事故証明書
B. 他の資料と組み合わせて有効になる資料
単独での証明は難しくても、複数の資料を組み合わせることで信憑性を高めることができます。
- 健康保険の診療報酬明細書(レセプト)
- お薬手帳、糖尿病手帳、血圧手帳など
- 病院の領収書や診察券(受診日の記載があるもの)
- 学生時代の通信簿や健康記録(特に20歳前傷病の場合、小中学校の記録が有効なことも)
- 電子カルテの記録や紹介状の控え
C. 上記の資料が全くない場合の手段:「第三者証明」
どうしても客観的な資料が見つからない場合、「初診日に関する第三者からの申立書」という書類を提出する方法があります。
これは、あなたの初診日頃の状況を知る第三者(ご家族以外)に、当時の状況を証明してもらうものです。
- 依頼できる方の例: 民生委員、会社の同僚・上司、学校の先生、ご友人など
- 記載内容の例: 「〇〇年頃、Aさんが体調不良を訴え、〇〇病院に通い始めたと聞いています」といった具体的な内容
第三者証明は、一人だけでなく、できれば複数人からもらうことで、より信憑性が高まります。
まとめ:一人で悩まず、専門家にご相談ください
初診日の証明は、障害年金申請における非常に大切な手続きです。
「自分の場合はどの資料が使えるんだろう?」
「資料を集めてみたけど、これで十分なのか不安…」
「第三者証明の依頼の仕方がわからない」
このように、ご自身で判断に迷う場面は必ず出てきます。そんな時は、どうか一人で抱え込まずに、私たち障害年金の専門家にご相談ください。
状況を丁寧にお伺いし、どのような資料が有効か、どのように集めればよいか、専門的な視点からアドバイスいたします。初診日の壁を乗り越え障害年金を受給できるよう、全力でサポートいたします。
TOPへ戻る












