人工透析で障害年金はもらえる?原則2級?受給するための3つの要件と手続きの全知識
目次
人工透析を受けていらっしゃる方、そしてそのご家族の方は、週に数回の通院と長時間の治療、そして常に続く体調管理など、心身ともに大きなご負担を抱えていらっしゃることと存じます。
「治療のために以前のように働けず、収入が減ってしまった」
「透析治療費や生活費など、将来の経済的なことを考えると不安で仕方がない」
「自分は障害年金の対象になるのだろうか?」
このような悩みを抱え、お一人で苦しんでいませんか?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限される場合に受け取れる公的な年金です。そして、人工透析を受けている方は、障害年金を受給できる可能性が高いことをご存知でしょうか。
障害年金専門の社会保険労務士が、人工透析で障害年金を受給するための要件から、申請手続きでつまずきやすいポイント、そして専門家に相談するメリットまで、分かりやすく丁寧に解説します。
あなたの経済的な不安を少しでも和らげ、安心して治療に専念できる未来へのお手伝いができれば幸いです。
そもそも障害年金とは?国の公的な経済的支援制度
障害年金と聞くと、特別な人がもらうもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事に支障が出ている方を支えるための、国の公的な年金制度です。交通事故や生まれつきの障害だけでなく、人工透析の原因となる糖尿病性腎症や慢性腎炎といった病気も対象となります。
障害年金には、初診日に加入していた年金制度によって、以下の2種類があります。
- 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた方(自営業、学生、主婦など)が対象
- 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた方(会社員、公務員など)が対象
障害厚生年金に該当する方は、障害基礎年金もあわせて受給できるため、より手厚い保障となります。
人工透析で障害年金を受給するための3つの要件
障害年金を受給するためには、クリアすべき3つの要件があります。人工透析のケースに当てはめながら、一つずつ見ていきましょう。
要件1:初診日要件|原因疾患で初めて病院に行った日は?
「初診日」とは、人工透析の原因となった病気(例:糖尿病、慢性腎炎、腎硬化症など)で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことを指します。人工透析を開始した日ではない点に注意が必要です。この初診日がいつかによって、受給できる障害年金の種類(基礎年金か厚生年金か)が決まるため、非常に重要なポイントとなります。
要件2:保険料納付要件|年金保険料をきちんと納めている?
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの期間のうち、3分の2以上、年金の保険料を納付している(または免除されている)必要があります。特例として、初診日が令和8年3月31日までにある場合は、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ、要件を満たすことができます。
「未納期間があって不安…」という方も、免除や猶予の期間も納付期間とみなされる場合がありますので、あきらめずに確認することが大切です。
「人工透析を受けているのに障害年金がもらえない」というケースは、上記の「初診日要件」や「保険料納付要件」を満たしていないことが原因である場合がほとんどです。
要件3:障害状態要件|人工透析は原則「障害等級2級」
人工透析療法を受けている場合、原則として「障害等級2級」に認定されると、障害認定基準で定められています。これは、透析療法が日常生活に大きな制約を与え、労働能力も著しく制限されると考えられるためです。
さらに、透析を受け始めた後の症状や合併症の程度、日常生活の状況によっては、より上位の「障害等級1級」に認定される可能性もあります。
【最重要】人工透析の障害年金申請のための2つのポイント
3つの基本要件を満たしていても、それを証明する書類が適切に作成されていなければ、不支給となってしまう可能性があります。特に重要なのが「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の2つです。
ポイント1:医師に依頼する「診断書」で伝えるべきこと
障害年金の審査は、提出された書類のみで行われます。そのため、診断書の内容が最も重要視されます。
<医師に伝えるべき内容の例>
- 透析による時間的制約(週3回、1回4〜5時間の拘束)
- 透析後の強い倦怠感、疲労感、めまい
- シャント側の腕の痺れや、重いものが持てないといった制限
- 食事制限や水分制限によるストレス
- 不眠、食欲不振、集中力の低下
- 合併症(貧血、高血圧、骨や関節の痛みなど)の具体的な症状
これらの情報が診断書に具体的に記載されることで、あなたの障害の状態が審査機関に正しく伝わり、適切な等級認定に繋がります。
ポイント2:自分で作成する「病歴・就労状況等申立書」の書き方
これは、発症してから現在までの病歴と、それによって仕事や日常生活にどのような支障が出ているかを、ご自身の言葉で申告する書類です。診断書を補完する重要な役割を持っています。
<書き方のポイント>
- 発症から初診日、透析導入までの経緯を時系列で分かりやすく書く。 (例:「〇年頃から異常な喉の渇きと倦怠感を自覚していたが、仕事が忙しく放置していた。〇年〇月、意識が朦朧とし救急搬送され、糖尿病と診断された」など)
- 診断書の内容と矛盾がないように注意する。
- 日常生活や就労における具体的な支障を詳しく書く。 (例:「透析の翌日は一日中起き上がれず、家事もままならない」「集中力が続かず、事務作業でミスが増えてしまった」「長時間の通勤が体力的に困難になった」など)
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを交えて記述することで、あなたの日常生活の困難さがより深く伝わります。
もし障害年金が受給できたら?受給事例のご紹介
慢性腎不全による人工透析で障害厚生年金2級が決定、年間約320万円受給決定した事例
相談者:男性(40代)
傷病名:慢性腎不全
決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
年金額:約320万円
相談時の状況
当ホームページをご覧いただき、お電話をいただきました。
人工透析となり障害年金を申請出来ると知人から聞き、年金事務所へ相談に行ったけれど初診日が不明であることや手続きが複雑で自分で出来るとは思えないというご相談でした。
相談時から請求までのサポート
面談しこれまでの経過を伺いました。
7年程前から目の霞みや見えにくさを感じるようになり、眼科を受診し「糖尿病性網膜症」と診断されたそうです。医師からすぐに腎臓を見てもらうようにと助言を受けたものの自覚症状なく腎臓の検査は受けなかったそうです。眼の治療は続けていたものの腎臓に対しては放置してしまい、時折体調不良を感じていたものの病院は受診せずに過ごしていました。
それから5年程経過した頃、出勤時に倒れ救急搬送された事をきっかけに医師から人工透析にしないと命に関わると指摘され人工透析を開始したということでした。
結果
障害厚生年金2級が決定しました。
糖尿病性網膜症と慢性腎不全は因果関係のある傷病となり、このケースの初診日は「眼科を受診した日」となります。
眼科に問い合わせしカルテが残っていたため無事に初診日を証明することが出来ました。
腎臓疾患は自覚症状がなく、また長期間に渡って徐々に症状が悪化するため初診日が何年も前になり証明が出来ないことが多くあります。色々な方法で初診日を証明する方法を検討することも可能ですので、初診日証明にお困りの方は是非専門家へご相談下さい。
>>慢性腎不全による人工透析で障害厚生年金2級が決定、年間約320万円受給決定した事例
「自分での手続きは難しそう…」と感じたら?専門家である社会保険労務士に相談する5つのメリット
ここまで読んで、「自分一人で手続きするのは難しそうだ…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。障害年金の申請は非常に複雑で、専門的な知識が求められます。そんな時、私たち社会保険労務士がお力になれます。
専門家に依頼するメリットは以下の通りです。
- 複雑な手続きをすべて任せられる 書類の取り寄せから作成、提出まで、煩雑な手続きを代行します。
- 受給の可能性を高めることができる 専門家の視点で、あなたの状況に合わせた最適な書類を作成し、認定の可能性を最大限に高めます。
- 初診日の証明をサポートできる 初診の病院が廃院していたり、カルテが破棄されていたりするケースでも、様々な方法で初診日を証明できるようお手伝いをします。
- 医師とのやり取りがスムーズになる 診断書作成に必要な情報を的確にまとめ、医師への依頼をサポートします。何を伝えたら良いか分からない、という不安を解消します。
- 精神的な負担から解放される 一人で抱え込まずに済む、という安心感は何物にも代えがたいメリットです。最後まであなたに寄り添いサポートします。
【人工透析】障害年金のよくあるご質問
Q1. 人工透析を開始したら、すぐに障害年金を申請できますか?
- 比較的すぐに申請可能です。障害年金の権利が発生する日を「障害認定日」といいますが、人工透析の場合はこの障害認定日に特例があります。原則である「初診日から1年6ヶ月が経過した日」を待たなくても、「人工透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日」が障害認定日とみなされます。これにより、他の方よりも早く年金を受給開始できる可能性があります。
Q2. 透析を始めてから何年も経っています。過去の分ももらえますか?
- もらえる可能性があります。これを「遡及(そきゅう)請求」といいます。障害認定日(Q1参照)の時点で要件を満たしていれば、その時点に遡って年金を請求できます。ただし、年金の権利は5年で時効となるため、遡って受け取れるのは最大で過去5年分となります。障害年金の制度を知らずに申請していなかった方は、諦めずに専門家へご相談ください。
Q3. 健康診断で腎機能の異常を指摘された日が「初診日」になりますか?
- いいえ、原則として健康診断日は初診日にはなりません。障害年金における「初診日」とは、病気の診断や治療のために、ご自身の意思で初めて医師の診察を受けた日を指します。健康診断で異常を指摘されただけでは「診察を受けた」ことにはならず、その結果を受けて、精密検査や治療のために医療機関を受診した日が初診日となります。この初診日の特定は、申請において極めて重要です。
Q4. 傷病手当金を受給中ですが、障害年金ももらえますか?
- 傷病手当金(健康保険)と障害年金(年金制度)は別の制度ですが、同じ病気やけがを理由に両方を受け取ることはできません。障害厚生年金と傷病手当金を両方受給できる場合、障害厚生年金が優先して支給され、傷病手当金はその差額分が支給されるか、支給停止となります。調整が入るため二重取りはできませんが、多くの場合、障害年金を受給する方が長期的なメリットは大きくなります。詳しくは専門家にご確認ください。
まずはご相談ください
この記事では、人工透析で障害年金を受給するためのポイントについて解説しました。
- 人工透析を受けている方は、原則として障害等級2級に認定されます。
- 障害年金を受給するには「初診日」「保険料納付」「障害状態」の3つの要件を満たす必要があります。
- 申請の鍵は、実態に即した「診断書」と、ご自身の言葉で日常生活の困難さやご自身の状態を伝える「病歴・就労状況等申立書」です。
- 手続きに不安を感じたら、専門家である社会保険労務士を頼ることができます。
人工透析を続けながらの生活は、決して楽なものではないと思います。経済的な不安が、そのご負担をさらに重いものにしているかもしれません。しかし、障害年金という制度は、あなたの生活を支えるためのものです。
「自分は対象外かもしれない」「手続きが面倒だ」とあきらめてしまう前に、是非一度、私たち専門家にご相談ください。
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